金がない

いや、マジで、どうしよう。本当に金がない。今月やっていけるのかっていうくらいやばい状況だ。今さっき携帯代2ヶ月分を払ったら、残高がとんでもないことになっていてお先真っ暗。はあ、調子乗って服買ったのがいけなかった。調子乗って家族に焼肉奢ったのがいけなかった。調子乗って外食したのがいけなかった。いけないことばっかりやってるな、オレ。しばらくはカップ麺生活だな、こりゃ。

でも、金に困ってるのは、今に始まったことじゃない。大学4年のときもそうだった。家賃が払えなくなるから本とCDも売ったし、バイトの時間を増やして、家庭教師も始めた。家計簿をつけてた時期もあった。夏休みは、部屋にいると暑いから学校か図書館に行って時間を潰した。チキンラーメン買い込んで先に麺だけ食って、スープを利用しておじやにして腹を満たしたりもした。89円のポテトチップスを買うにも本気で迷ってた。絵に描いたような貧乏学生だった。貧乏列伝をこうして文字にしてみればけっこう悲惨な生活だけど、でも、自分を哀れんだことは1度もなかった。
思い返してみれば、友人といつも一緒にいた。彼もまた金銭的に余裕がなくて、バイトに精を出し、あらゆる節約をやっていた。僕らは学校の近くにある河川敷で何時間も暇をつぶした。金がないから、発泡酒2缶と100円のおつまみをひとつ買って、それを2人で分け合った(なんて慎ましいんだろう)。彼とはいろんな話をした。お互いの悩みを打ち明けたり、「人生って何でつまらんとやろうね」とか言ってみたり、僕がストロークスの良さをいくら力説しても、彼はわかってくれなかったり、逆にビートルズの話で異常に盛り上がったり(「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」でのリンゴのドラムのかっこよさについてとか)、彼から村上春樹の良さを教わったり、自主映画の話をしたり(結局頓挫したけど)、心理学と哲学の関係性について話したり…。とにかく楽しかった。わくわくした。いつも彼を終電ギリギリまで留めて、悪いなあと思っていたけど、楽しいんだから仕方がなかった。
彼は僕に多くのものを与えてくれたけど、僕は彼に何か与えることができただろうか、と時々悩むことがある。でも、実はそんなことどうでもいいことだと一方では思っている。お金はなかったけど、あの時間は、誰が何と言おうと豊かだった。ありがとう。