偶然もいきすれば

去年の冬出張で岡山へ行った。
朝の8時過ぎに倉敷駅で支店の人が迎えに来るのを待っていた。とても寒い朝だった。あまりにも寒かったから駅構内にある喫茶店で熱いコーヒーを飲んで体を温めた。それでも待ち合わせの時間まで少しあったので改札の前で待つことにした。そこには通勤途中のサラリーマンや登校中の高校生であふれかえっていた。どこの駅でも見られる普通の朝だ。僕は、そういった人たちの往来を腰掛けに座ってぼんやりと眺めていた。
5分くらい経った頃だろうか。人ごみの中にどこかで見覚えのある顔が目についた。身長は僕より少し高め(180くらい)で髪は短く、少し特徴的な顔をした若者だ。スーツを着て少し大きめのボストンバッグを持っている。
すぐに思い出し僕はかなり驚いた。その若者は大学のころ僕と同じ科だった人だ。見間違えるような距離じゃなかったし、さきにも書いたように印象に残る顔だったので間違いなかった。
よっぽど声をかけようと思ったけど、かなり急いでいる様子だったので、結局そのまま見過ごした。
もちろんこの出来事はただの偶然で、不思議な力が働いただとか特別な意味があるとか、そういうオカルト論にはもっていくつもりはない。だけど、これってかなり珍しいことじゃないだろうか。全く知らない土地で何の前触れもなく知り合いと遭遇する(自分の住んでいる街ではなく遠く離れた出張先で)。少なくとも僕の人生では初めての出来事で、今後こういうことは起こらないだろうと思うし、あってもあと1回くらいだろう。
みなさんはこんな経験ありますか?(でも意外とあるんだろうなあ)。