暴走

土日はなぜだか鬱っぽくなった。
何もする気が起きず、胸の中が重たくなるようなあの感覚。もやもやしたものが頭の上に乗っかっているような気分。口から出るのはため息ばかり。

その重たい気分を引きずったまま月曜が始まった。
しかも今日は部の飲み会じゃねえか。はあ、かったりい。早く帰って布団をかぶりたいのに。
そんなことを考えながら飲み会が始まった。
明らかにテンションの低い自分。
新人が挨拶してる。ああ、こいつら俺の後輩なんだ、なんか時が経つの早いなあ、なんて思っていた。

乾杯。ビールを一杯飲む。
こんな苦いものの何が美味しいのか相変わらずさっぱりわからない。
でも、なぜだかまた欲しくなった。

あ、やっぱ酔ってきたら気持ちいいな。
2杯3杯と飲むうちに気分が高揚してきた。
水割りの焼酎を飲む。日本酒を飲む。とにかく後先考えずガンガン飲んだ。
気がついたら、大声をあげ、上司に絡みまくり、飲み会に参加している誰よりも元気になっていた。
みんな笑っている。僕も楽しかった。世の中すべてのことが素晴らしく思えた。
意識は朦朧としている。ここにいるようでいないような感覚。
気がつけば、会はお開き。まだ30分も経っていないような気がする。いや、もう時間の感覚なんてなくっていた。


そこからが地獄だった。まともに立っていられない。
トイレでずっとうずくまっていた。
吐いて吐いて吐きまくった。何も出なくなるまでとにかく吐いた。
先輩が水を買ってきてくれた。会社のロビーで酔いを醒ます。
少しだけ気分が良くなる。

先輩がタクシーで帰ろうという。なんて優しい人なんだって思う。
先輩の肩を借りて何とかタクシーに乗った。
先輩が途中で降りた、僕に5千円を差し出して。
そこから15分くらい経って僕もタクシーを降りた。
やっと休める。
と、思った瞬間また吐いた。
もう何が何だかわからない。

気がついたら、自分の部屋で布団をかぶっていた。
朝だった。
僕は何事もなかったかのようにシャワーを浴び、歯を磨いて、髭を剃った。
めざましテレビを見ながら、Yシャツにアイロンをかけていつも通り出社した。