最高傑作!!!!

ikeokawachi59112008-05-27

ランボー最後の戦場』を観た。
これは本当にすごい映画だ。今年1番の映画かもしれない。
正直このシリーズはネタとして見ていた。友人たちといっしょになって「ありえねー笑」とか「何でだよ笑」とか突っ込みを入れながら鑑賞するものだと思っていた(過去3作はそうやって観た)。そして今回もそんな軽いノリで映画館に足を運んだのだ。
ところが、冒頭映し出されるのは、ミャンマー軍が市民を迫害する実際の映像。現実世界で起きている暴力の在り様を観る者に植えつけるところから始まる。「笑えるランボー」のはずが、逆に胸が締め付けられるような気持ちになる。
あれ、ランボーってこんな映画だったっけ?と頭の中で整理がつかぬまま観ていると、物語はますます陰惨極まりない方向へと進んでいく。
軍の急襲により、徹底的に村は破壊され、村人は虫けらのように殺されまくり、子供も容赦なく銃で撃たれ、ナイフで刺される(この描写が一番観ていて辛かった)。女性は獣のような兵士たちに強姦される。しかもその描写はめちゃくちゃリアルで、本当に月並みな言葉だが、本物の虐殺を観ているようだった。日本ではR指定(15歳未満鑑賞禁止)らしいが、成人指定になってもおかしくなかっただろう。
しかし、どんなに暗くて悲惨でもそこはスタローン=ランボーだ。かっこいいアクションと派手な爆破シーンは健在で、悪魔のような軍隊を悪魔がやるような手段でランボーは殺しまくる。何もここまでしなくてもと思えるほど、人体破壊が凄まじい。


これは、過激な反戦映画だ。安易な娯楽映画だったら、冒頭に実際の記録映像など流すはずがないだろう。
映画を観ればわかることだが、ランボーは戦争に何の意義も見出していない。けれども戦場に立てば敵を殺されなければならないことを誰よりも理解している。この二律背反した思いを同時に抱え葛藤する姿は、本作によりいっそう深みを与えている。
敢えて云おう。スタローンの骨太な作家性は本物だと。